dimensionsのカスタム・サービス

Gyoen1111

国内初の患者体験データベースにして患者リスニング・プラットフォームであるdimensionsは、以前にも触れたようにベーシックとカスタムの二つのサービス・メニューから成っている。ベーシックは病名ごとのバーティカル検索と諸条件によるフィルタリングが可能な全文検索エンジン「X-サーチ」、そして固有名詞出現を病名、薬品、医療機関、検査・機器、治療法の五つの次元でリスト出力する「distiller」の二つのツールによって構成されている。

dimensions本体は400万ページの患者体験ドキュメントのデータベースと付属検索機能としての「X-サーチ」であり、distillerはそのデータベースの出力ツールの一つという位置づけになり、今後はdistiller以外にもツールを増やしていきたい。

対してカスタム・サービスだが、これは患者体験データベースからユーザーのリクエストに応じ、さまざまな形でデータ出力をしていこうという考え方であったが、どうも漠然としすぎており、標準メニュー化が必要だと思っていた。そこでカスタム・サービスの標準メニューとして、当面、次の二つのサービスを追加する。

1.患者サマリー

個々の患者ヒストリーをワークシート一枚に時系列で切り出し、個別サイト検索機能を付加する

2.テキストマイニング・レポート

特定病名の患者ドキュメント集合からキイワードを抽出、数量化、集計の上、相互関係と患者評価を視覚化

distillerでは、たとえば一つの薬品名で一人の患者体験をトレースすることは可能になったが、これは患者体験の一部分を切り出していたわけで、全体像を見ることができなかった。その全体像をExcelのワークシート一枚に集約したものが「患者サマリー」である。もともとdimensionsの構想段階では、各固有名詞を時間軸上にマッピングすることが基本アイデアであったが、それはとりあえずdistillerで部分的に実現することになった。

しかしその後、distillerのエントリ日付データの取得率などデータ精度も上がってきたので、ようやく当初の構想を実現することが可能になった。「患者サマリー」は一人ひとりの闘病ヒストリーの全体像をワークシート一枚にマッピングし、それぞれの固有名詞のコンテクストすなわち因果関係を把握し、リンクから必要なエントリへダイレクトにアクセスすることができる。あわせてそのサイトだけの個別検索機能を用意し、多角的にデータを見ることができるようになる。

次に「テキストマイニング・レポート」であるが、これは特定病名の患者ドキュメント集合から形態素解析でキイワード抽出を行ない、出現頻度など数量化を経て、特定病名患者グループにおける医薬品群の評価や相互関係を視覚化することになる。たとえばTOBYOが可視化した乳がん患者サイト2千数百において、抗がん剤など複数の薬品がどのようにイメージされ評価されているかを視覚化することになる。

distiller dimensionsは国内最大の患者体験データベースであり、しかもこれら患者ドキュメントの特徴は、それらが患者から自発的に発話された「患者のホンネ」であることだ。これは闘病ユニバースという非常にクオリティの高いデータ生成エンジンが、たまたま日本語ウェブ圏に成立したことに起因しており、他国では例を見ない現象だと思う。

今後、TOBYOとdimensionsプロジェクトでは、この「患者のホンネ」という特徴をかなり強く訴求していくことになるだろう。なぜなら、ここがレガシー調査等が生成するデータとの決定的差異であるからだ。

三宅 啓  INITIATIVE INC.


dimensionsのカスタム・サービス” への1件のコメント

  1. 大腸がん患者でやった場合どのようなアウトプット事例になるか
    手ストアサンプルを見させてもらいたいのですが可能でしょうか。

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