先週ポストした「TOBYOのネクストステージ」では、闘病ユニバースに存在する闘病サイトの再可視化に触れたが、これはTOBYOが保有するデータを使いやすくするために、単に再編することをめざすものであり、「ネクストステージ」のための準備作業ということになる。では事業化を含めた本来の「ネクストステージ」はどうなるのか。基本的にそれは、闘病ユニバースと医療関連業界の間に、「DTC&DFC」の二つの潮流を創出することになると考えている。
この二つの太い潮流には、データ、アテンションそしてマネーが流れることになる。これまで闘病ユニバースと医療関連業界との間にはほとんど関連はなく、お互いが別個に独立して存在していたといえるだろう。TOBYOプロジェクトはこれら二つの間を架橋し、相互を還流する二つの潮流を創出したいと考えているのだ。
まずDTCだがこれはウェブDTCのことであり、従来のマス広告のことではない。たとえば製薬業界を考えてみると、10年以上前から疾患別に疾患啓発サイトが多数作られてきたのだが、投じられた予算に比しそのウェブ上における存在感はきわめて薄い。まずこれらのリソースを有効活用することが「ウェブDTC」の課題となるだろう。他方、闘病ユニバースに存在する多数の闘病サイト群は、TOBYOによって疾患別に可視化されてきており、これら疾患啓発サイトの闘病ユニバース側の受け皿になると考えられる。たとえば大腸がん患者の闘病サイトから、大腸がんの疾患啓発サイトにアテンション動線が引かれれば、これらのサイトは相互補完的な新たな機能を獲得するだろう。
また、これまで闘病ユニバースの各サイトは広告メディアとして注目されてこなかったが、以上のような動線起点としての役割が明確になれば、ロングテールではあっても、闘病ユニバース全体として広告媒体価値を生み出すはずだ。そしてそのことによって、闘病サイト管理者はいくばくかのインセンティブを獲得できるだろう。つまり、医療関連業界から闘病ユニバースへ向けたマネー潮流を生み出していくことになる。
次にDFCだが、これは闘病ユニバースに蓄積された膨大な体験データを、医療関連分野へ還流させることをめざすものだ。このイメージは今まで何度も語ったので繰り返さないが、その出力方法についていくつかの選択肢がある。たとえば前回「ネクストステージ」で述べたデータ再編と精緻化の方向は、最終的にはASPのようなサービスになると考えている。これには相当の開発投資と時間が必要なので、今すぐというわけにはいかないだろうが、いずれここまで進まなければ医療を変えることはできないだろう。
さてDTCの潮流は、医療関連業界側の既存リソースを闘病ユニバースの力を梃子として再活用するものであり、闘病ユニバースとそのインフラであるTOBYO経由でアテンションを集めることになる。DFCはダイレクトに闘病ユニバースの体験データを還流させる潮流である。そして、これらアテンションとデータの対価として、マネーが闘病ユニバースへ流れることになる。TOBYOプロジェクト並びにパートナーは、これらの潮流に参画することによってマネタイズの道が開かれると考えられる。
三宅 啓 INITIATIVE INC.
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