Google Health:ストレージ機能強化とアドバンス・ディレクティブス

GoogleHealth0907

先週、GoogleはGoogle Healthのストレージ機能強化を発表した。これによってユーザーは、PDF、イメージ、オーディオ、ビデオなど、各形式の自分の医療記録ファイルを自由にアップロードできるようになる。特に紙の医療記録がまだ多いので、これらをスキャンしPDFファイルでGoogle Healthにしまうことを、Googleではユーザーに勧めている。現状は紙記録から電子記録への移行期に当たり、このようなサービスが必要だと判断したようだ。ちなみに以前、紙の医療記録をファックスで集約するようなPHRサービスがあったが、その後あれはどうなったのだろうか?。

今回の機能強化によってユーザーに割り当てられるストレージ容量は100メガ。各ファイルサイズは4メガ以下という制限が設けられている。大きな画像診断ファイルなどは大丈夫なのか?。ところでGoogleはこのストレージ機能強化と同時に、「アドバンス・ディレクティブス」(advance directives)サービスの発表をしている。

「アドバンス・ディレクティブス」とは、終末期に患者がどんな治療をしてほしいかを、あらかじめ医師に対する指示書としてまとめたものである。特に患者がコミュニケーション能力を失った場合などに、患者に代わって医師に患者の望む医療を指示できるメリットがあるとされている。Google Healthは、このアドバンス・ディレクティブスをユーザーが簡単に作成できるようにするため、この分野の専門会社Caring Connectionsと提携したと発表している。だがアドバンス・ディレクティブスに対しては、医師の治療方針の範囲を狭めるなどの批判も多いようだ。

Google Healthのこれらの機能強化を見ていると、「一ヵ所に個人の医療情報をすべて集める」ための布石を着々と打って来ているのが分かる。PHRであるからこれは当然である。
ここのところ「医療記録」の問題を戸塚構想を検討する中で考察してきたのだが、一方ではGoogle HealthなどPHR技術は日進月歩の進化を見せている。昨日のエントリでも記したが、結局、患者と医療の関係、そして参加型医療という今後のビジョンに、これら医療記録とその保存プラットフォーム(PHRなど)の問題が深くかかわってきていることは間違いないと思われる。その意味で、戸塚構想とGoogle Healthは無縁ではないのだ。もちろん今後のTOBYOのありかたにも関係してくる。

The official Google Blog
Plan ahead: Document and share your health wishes with Google Health

三宅 啓  INITIATIVE INC.


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