昨日(2月12日)、「みんなの闘病サイト、オンライフ」バージョンアップ版が公開された。同社の津田社長ブログによれば
簡単に言うと、「疾患プロフィール」と「闘病日記」機能の追加により
「患者さん向けSNS」のようなサービスになったということです。
とのこと。「疾患プロフィール」とは闘病記作者プロフィールを「基本情報」、「自己紹介」、「関わりのある疾患」、「患者年表」、「投薬履歴」、「関心のあるキーワード」で整理できるページ。「闘病日記」機能とはその名のとおり闘病ブログを書く機能。これによって、疾患ごとの共用プラットフォームと個人プラットフォームの連携が強化され、サイト全体がすっきりと見通し良くなった。
昨年10月にリニューアルオープンしたときは、ネット上の医療情報をユーザーみんなで収集整理する「アグリゲーション・ポータル」のような方向を強く持っていると思ったが、今回、闘病記生成機能強化へと方向が修正された。これは正解だと思う。なぜならSBMなどユーザー関与度の高い機能は、まだ闘病者全体にはなじみが薄いからだ。当方のTOBYOの経験からもそれは言える。闘病者はネットのスキルに習熟した若年層だけではなく、むしろ高齢者が多い。ここをどう判断するか、なかなか難しいところだ。
だがある意味では、これで闘病に特化したブログサービスが新たに誕生したとも言えよう。汎用ブログサービスとの差別化への目配りも、「疾患プロフィール」機能の追加によって行き届いている。特に「患者年表」のように、時間軸上にイベントを配列する機能は、闘病情報の全体像を俯瞰する上で重要である。これら「疾患プロフィール」はさらなる進化が期待できる。おそらくそれは、たとえばPHRの一部を取り込むような形ではないだろうか。私は、闘病記とPHRの親和性は高いと以前から考えてきたが、Google Healthなどにはそのような発想は見当たらないので、オンライフが先行してチャレンジされることを期待したい。一方、「患者SNS」としてのユーザーベネフィットを提供するためには、患者同士のコミュニケーション機能も大きなポイントになるだろうが、そこにも配慮はされているようだ。
ところで昨日エントリ「闘病サイトのライフサイクル」で、闘病サイトには次のような三種類があると書いておいた。
- 現在闘病中のサイト
- 闘病が一段落し、寛解もしくは完治したサイト
- なんらかの理由で遺棄されたサイト
これは当方のTOBYOにも言えることだが、とにかく「1.現在闘病中のサイト」をどれだけたくさん、継続的に集めるか。ここが最も重要ではないだろうか。日進月歩の医療技術の進歩を考えると、古い闘病ドキュメントでは実践的な闘病の指針にならないからだ。このあたり、闘病に特化したサービスに固有の課題だと最近強く思うようになった。情報量だけではなく、むしろ情報鮮度が重要だ。
さて、バージョンアップなったオンライフ。
今後の、さらなる進化と発展を期待しています。
三宅 啓 INITIATIVE INC.