昨夜、たまたまNHK「医療再建」を見た。医師不足、研修医制度、診療科目の自由標榜など、「医療崩壊」と総称されているさまざまな問題を取り上げていた。だが番組が進むにつれ、当方の番組への興味関心は薄れる一方で、むなしく隙間風がスタジオに吹く音さえ聞こえるようであった。役人、医師会、医療者、研修医、患者など、関係者が一堂に会して口々に意見を表明しているのだが、それらは焦点を欠き、まるで自分たちの立場を一方的に言いつのるだけで満足しているかに見えた。
短く言ってしまえば、医療の需要に対し供給が十分に対応出来ていないのが日本医療の現状なのだが、これを「医療崩壊」などと言ってしまうとかえって問題は見えなくなる。そんなふうに過度にセンセーショナルな言い方をする必要はなく、単に有限の医療資源をどのように効率的に社会に配分するかという問題である。そして、厚労省の資源配分に関わる需給予測と計画がこれまで一貫して失敗してきたから、現下の困難があるのだということが、すべての議論の出発点になるはずだ。日本医療は計画経済で完全にコントロールされているのであり、その責任は計画の立案と実行に携わる者がすべて負うべきである。まず、そこをはっきりさせなければならない。 続きを読む