先日、Salesforce.comがEHR市場参入を発表し話題になったが、相変わらずIT企業の医療市場参入意欲は高い。CISCOも以前から医療への取り組みをしてきたが、どうやら遠隔医療(Telemedicine)分野へ焦点を合わせているようだ。一口に遠隔医療といっても実は多様な展開が考えられる。それを大ざっぱに整理してみると、次の三領域になるだろう。
- 在宅遠隔医療サービス
- 拠点型遠隔医療サービス
- 海外遠隔医療サービス
今後、最も需要が拡大されると期待されているのは上記1であるが、これも単独サービスからPHRなどとの複合サービスに至るまで、様々なアプローチが模索されている。上記2はリテールクリニック(コンビニクリニック)との複合モデルをすでにウォルマートが開始している。(「リテールクリニック+遠隔医療=Wal-Mart」)。そして上記3だが、これはまず「医療ツーリズム」という形で顕在化しているボーダレス化した医療ニーズを回収する方向があり、たとえばクリーブランドクリニックの産油国へのサテライト施設設置がその代表例だろう。他方、医療者や医療機関の絶対量が不足している発展途上国支援という領域があり、これは国連機関を中心に、
モバイルを活用した「mHealth Alliance」による取り組みが開始されている。
CISCOの場合、上記1と2への参入を考えているようだが、2の事業イメージビデオが公開された。これを見ると、どうやらウォルマートが進めている「リテールクリニック+遠隔医療」というモデルを目指しているようだ。ウォルマートはUTMB(テキサス大学医学部ガルベストン校)が開発した遠隔医療システムを使用しているが、CISCOの場合、リテールクリニックチェーンへ自社システムを販売するのか、それとも自社店舗展開まで考えているのか、これはまだ不明である。
三宅 啓 INITIATIVE INC.